──街灯もあまりなく、閑散とした町の一角。
夜勤でもしているのかと遠くに見える高層ビルに点る明かりを一瞥し、泉は目的の部屋の前にジープを駐める。
部屋に入ると、さっそくモーテルの管理人と思われる男が現れて今日の分の部屋代を請求し、チップと共に支払うとルームキーが手渡された。
入り口の鍵を閉め、キーをテーブルに乗せると部屋を見回す。
ベッドは入り口から見て左にあり、簡易キッチンにシャワーと基本的なワンルームだが、
「なるほどね」
隣に抜けられるドアを見て口角を吊り上げる。
管理人に言えば開けてくれるもので、すでに話は付けてあるとベリルが言っていた。
その通り、ドアノブを回すと軽いきしみを立ててドアに隙間が出来た。
それを確認し一旦、ドアを閉めるとベッドに腰を落とす。