──青年は、薄暗い部屋で目の前のテーブルに置かれているアクリルの白い箱を不安げに見下ろし、両側に同じく箱を見つめる二人の男を茶色い瞳で交互に一瞥した。

「なあ。本当にやるのか」

 不安はその視線だけでなく声にも表れている。

「当たり前だ。今更、引き下がれるかよ」

 青年に問いかけられた男は、やや興奮気味に工具を握りしめ険しい表情で答えた。

 青い目をぎょろつかせ、汗でへばりつく硬い栗色の髪を鬱陶しそうに撫でのける。

「この国は狂ってるんだ。俺たちで粛正するんだよ」

 込み上がる感情を抑えてつぶやいたその男に呼応するように、もう一人の男も低く発した。

 互いに見合い、それぞれに視線を落とす。

 三人の男は今まで貯め込んでいたものを詰め込むように、眼前の箱をじっと睨みつけた。