泉は宿泊しているモーテルに戻ると、テレビを付けてベッドに腰を落ち着ける。

 手にしたノートパソコンを開きUSBメモリを差し込んでデータの転送を始めた。

 途中で買ってきたサンドウィッチと缶コーヒーを飲みながら転送を待っていると、スマートフォンにメールが届いた。

 ドルフからのもので、

「なんとか手続きは済ませた」という内容には文字の上からでも疲れがにじみ出ているようだった。

 泉はそれに口角を吊り上げ、そのままスマートフォンからどこかにかけ始めた。

「──よう。騒ぐなよ。随分と陰湿な真似をするじゃないか」

 転送ゲージを見やりつつ寝転がる。

「そんなことで客を一人減らすつもりか? あ? 公私は別けろよ」

 返される言葉に面倒な顔をして眉を寄せる。