泉がベリルに意外だなと感じた部分があるように、ベリルもまた泉にそれを感じていた。

「今はまだ推測の域を出ない」

 それが事実となるかどうかは、今後の情報で決まる。

「奴が動く前に、こちらも対応出来るようにせねば」

 推測が当たっていようがいまいが、何かをしようとしている事に代わりはない。

「すぐに動けるようにしておく」

「頼む」

 サヴィニオもまた、こちらを監視している。

 いままで以上に慎重に動く必要がある。

 ようやく対峙するチャンスを再び得た泉は、逸(はや)る気持ちに拳を握りしめ、

「逃したくないならはしゃぐな」と自らに釘を刺す。

 あのときとは違う──そう言い聞かせ、何かを思案しているベリルを見つめた。