「変圧器の方はどうだ」

 ふと思い出し路地裏から離れたところで問いかけた。

「関係しているものは詳細に調査した」

 しかし、何も出てこなかった。

 さすがと言うべきか、やはりと言うべきか。

 そう簡単に尻尾を掴ませてはくれない。

 スナイパーの方もすでにベリルが見つけ出し尋問をしたが、やはり依頼主は解らなかった。

「サヴィニオとホルガーが組んでいるのは明らかだ」

 こちらが組んだことでホルガーを呼び寄せたのかもしれないが、厄介であることに変わりはない。

 されど、少しずつ姿を現し始めた。

 何か大きなことを成そうとするなら、必ずどこかに影が現れる。

 それを見逃さなければ、こちらの利とする事が出来るだろう。

「影を踏めると良いが」

 つぶやいて浮かべた笑みが妙に冷たくて、泉はそれに魅せられると同時に冷ややかなものが背筋を流れた。