桜下に見、往々にして炎舞

 泉は高校を卒業してすぐ渡米した。

 おおっぴらではないが肌で感じる人種の壁は思っていたよりも高く、しかしそれで卑屈になるほど彼の精神は繊細ではなかった。

 接した全ての人間がそうではなかったし、そんなことで気を揉むのは時間の無駄だと割り切っていた事がむしろ周囲に好感を与えていた。

 もちろん、アメリカに渡ったのは日本にいては出来ない経験と知識の吸収が目的だった。

 叔父のように外人部隊に入るのもいいと考えていたが、気がつけばフリーの傭兵となっていた。

 そんなおり、恭一郎が二十六歳のとき叔父が死亡したことを知り帰国した。

 イタリアで観光をしていた叔父は、設置されていた爆弾で命を落とした。

 一時帰国した恭一郎に母親は当然のごとく傭兵となった事を責め立て、あまつさえ叔父のことまで持ち出した。