──空は紅(くれない)から夕闇に、昼間の喧騒は夜の華やかさに彩られていく。

 泉が宿泊しているモーテルは街の中心からやや離れた場所にあった。

 モーテルに到着すると、受付カウンターに立ち寄る。

 とはいえ場末のモーテルにある受付など高級ホテルとは違って雑なもので、事務所のドアを開いてすぐ視界にカウンターテーブルが飛び込んでくる。

 さして広くもない室内にあるカウンターの向こう側には、安っぽいオフィスにあるようなデスクが二つと、木製棚のなかにファイルや書類が乱雑に詰め込まれている。

「夜中にちょっと騒がしくなると思うが気にするな」

 ガタイの良い男にそう言って、百ドル紙幣を数枚テーブルに乗せた。男は無言でそれを手に取り、部屋に戻る泉の背中を見送る。

 部屋に戻った泉は武器の手入れをしたりテレビを見たりと時間を潰し、午後十一時をまわったあたりで灯りを消してベッドに潜り込んだ。