桜下に見、往々にして炎舞

「おい、どういうことだ」

<狙撃手(スナイパー)が雇われたという情報が入った>

 対象が泉でなければ、依頼主不明の情報がこちらには伝えられなかったかもしれない。

<とりあえず引きこもれ>

「そうさせてもらう」

<ああ、戻るときは解りやすく頼む>

「てめえ……。やりゃあいいんだろ」

 いつまでも狙われているのも面倒だ。

 泉は通話を切ってコーヒーを飲み干し、歩く速度を一定にしないように宿泊しているモーテルに向かった。

 その途中で入ったメールに眉間のしわを深く刻む。

 銀行からのもので、結構な額が振り込まれていた。

 振り込んだ名前は「B」とだけ表示されている。

「あいつか。案外、律儀だな」

 あれだけ見事に失敗すれば、スナイパーも警戒してしばらくは攻撃してこないだろう。

 依頼主がサヴィニオならばそれなりの殺し屋を雇うはずだ。

 むやみに自分の姿を晒すような攻撃はしてこないと踏んで、泉は恐れることもなく歩みを進めた。