桜下に見、往々にして炎舞

 それに、私は相手にとってそれほど怯えられている存在だろうか。

 サヴィニオについて詳しい訳でもないのでその部分においてベリルは図りかねていた。

「今は慎重に」

「めんどくせえな」

 こちらは大勢の人質を取られているのと変わらない。

 それは重々、理解しているものの、この現状はなんともじりじりする。

 とにかく今は、いかに迅速に相手の動きに先回り出来るかだ。

「変更される指示には、いつでも対応してもらいたい」

 ベリルの言葉に口の端を吊り上げる。泉の提案も受け入れているということか。

 ベリルが主導権を握っているように見えるが、協力し合ううえで泉は当初からそれを了承していた。

 指揮に長けているとされるベリルの闘い方を見てみたい。

 変に張り合うよりも、その力量を計りたいというのが泉の思惑だ。

 それに、使うよりも使われている方が楽だ。

 自分は誰かに指示をするタイプじゃない事を泉はよく知っている。