桜下に見、往々にして炎舞

 つくづくだと自分に呆れるくらいには、心が目の前の人物を追いかけている。

「その喋り方が気になっている」

「すまんね」

「悪かないが」

 下からベリルをまじまじと眺めて、尊大な口調だが別に嫌な気分でもない。その容姿に相応しいとさえ思えてしまう。

 むしろ、

「ベッドで泣かせたくなっ!? ──る」

 脳天にかかと落としを食らって撃沈した。スネと脳天に連続で食らったダメージにさすがに目が潤む。

「て、てめっ……。俺をなんだと」

「仕事仲間」

 とりあえずは味方という位置づけに安心した。

「あぶり出すつもりか」

 ベリルの察しの良さに口角を吊り上げる。

「あんたに睨まれて無事だった奴はいないんだろ」

「言い過ぎだ」

 窮鼠(きゅうそ)猫を噛むと考えているのかもしれないが、そうそう上手くいくとは思えない。