──数時間後、すでに葉桜となったタイダルベイスンの木々を眺めながら、泉はベリルを待っていた。いつの間にか、ここが待ち合わせ場所となっている。

 桜が散って華やかさは失われたものの、見つめる先にいる人物は、そこにいるだけで空間が引き締まる存在感を放っている。

 あまり表情を変える事がなく冷たくも感じられる面持ちだが、外見でそれを判断するほど泉は平穏な生き方はしていない。

「どうか」

「資材を集めているっぽい」

 こちらを見つめるベリルの視線がどうにも複雑な色を見せているが気にしてやらない。

「ほう?」

 サヴィニオに唯一、接触している男が資材を買い付けてトラックで運んでいた。

「トラック?」

 ベリルはそれに、随分と大がかりだなと眉を寄せる。