社員が社の情報を抜き取り、個人的に取引したとなればなおさらだ。

「とりあえず会社に通せ。そのあとで情報を渡したことにすればいい」

「す、すまない」

「俺をひいきにしてくれるのは有り難いがな。あんたのとこが潰れるのはこっちだって困るんだよ」

 個人や契約の必要がない情報屋も利用しているがドルフの社はアメリカだけでなく、多くの国に支社があり大いに助かっている。

 情報料も馬鹿にならない、それほど沢山の情報屋を雇える訳ではないのだ。

「だったら上司に手を出そうとするなよ。そんなことしなけりゃ普通に渡せたんだからな」

「悪かったよ」

 苦々しく発してコピーの進行状況を見つめているとドルフが何やらいぶかしげに泉の顔を見上げていた。