さて、これからどうするか。

 出てきたのはいいが、行くあてがない。


 ダチに頼ってもいいんだが、どうも…

 人に世話になるってことになれていない俺は、できることならばそれは避けたい。


 が。


「一ヶ月、野宿ってわけにもいかねぇだろ」


 流行のネットカフェか?

 それとも今日みたいにファミレスか?


「…だとしても一ヶ月はねぇよな」


 しょーがねぇ。

 とりあえず何人かのダチに当たってみるか。



 コーヒーを飲み干してから、

 電話をかけようと携帯に手を伸ばした。




 ブルルルルル……




「ん?」


 何だこれ?

 誰の番号だ?


 しばし眺めて首をかしげる。


「もしかしてアイツか?」


 もう会いたくなったのか。

 免疫なさそうで、そうでもねぇのか?

 早ぇな。


「もしもし?」


 出てみれば。


『も、もしもし…、流川?』


 こもったような、小さな声。

 さっきの元気はねぇが、確かにアイツの声だ。


「ん? なんだお前か。なんだ、もう会いたくなったのか?」


 からかってやれば。


『わ…私…』


 様子がおかしい。

 声が震えてやがる。

 しかも涙声ときた。


 これは…

 何かあったな。