*龍也Side*
「龍也、、はずい、、」
そう言って小さな手で俺の袖を掴む。
梓紗は真っ赤にして下を向いていた。
そんな梓紗の手を強く握る。
「梓紗、、お前可愛いわ、」
「うるさい!ばか龍也!」
そう言う梓紗の顔はもっと赤くなった。
あれからどのくらい経ったのだろう。
遊び疲れてしまった2人。
「そろそろ戻ろうか、」
「龍也、病院には戻りたくない、、、」
「でも、、、、」
「元気だから、、、!」
「じゃもう少し歩いてから帰ろう。な?」
「うん、、、、」
さっき見せていた笑顔が消えて、一気に表情を曇らせる。
「なあ、梓紗、そろそろ帰らねえと、、、」
「嫌だよ、、龍也の手を離したら何もかもが終わっちゃう。」
「大丈夫だよ、これから始まるんだよ。」
そう始まる。
でもあんなことが始まりだったなんて
誰も知らなかったんだ。

