「…でも尚叶くん、“優しい”のは嘘じゃないでしょ?」

「え、」

「だって、雨の中あたしを車で送ってくれたし、ご飯奢ってくれたし、包丁で手を切ったらすぐに処置してくれたじゃん。

あたしは、尚叶くんのそういうところ、いいと思うし凄く好き」


「!」



あたしはそう言うと、尚叶くんを励ますようにして彼を見る。


そう。尚叶くんは自分を弱虫だって言うけれど、確かにそういうところもあるけれど、あたしがピンチになった時に慌てることなく冷静に対処してくれたじゃん。

それに、ちゃんと怒ってもくれた。だから…。



「…それに、嘘、吐いてたのは尚叶くんだけじゃないし」

「え、」

「ほら、尚叶くんがあたしのマンションに遊びに来た時、部屋がすごい綺麗だったでしょ?

でも、ほんとはいつも逆。超散らかってるの。あれは、その前の日の夜に慌てて片付けただけ。

それにあたし、こう見えて実は数年前まではすっごいワガママだったんだ。尚叶くんが引くくらい」



あたしはそう言って、「だからこれでおあいこね」って微笑んで見せる。

そんなあたしの言葉に、今度は尚叶くんがあたしのことを呆れるかとも思ったけれど…。



「…ほんと?」

「?」

「ほんとに、友香も俺のこと好きなの?」