【完】ある日、恋人を購入した。


…………



「できたよ」

「!」



それから尚叶くんが料理を再開させて、全て出来上がったのはだいたい一時間後のことだった。

あたしの指の怪我はもうすっかりおさまっていて、今は尚叶くんからもらった絆創膏を傷口にはっている。


尚叶くんがその言葉とともにリビングのテーブルに運んできたのは、凄く美味しそうなピーマンの肉詰め。

あれから尚叶くんは本当に最後まで作ってくれて、それ以外にもスープやサラダ等も作ってくれた。



「わー美味しそう!ありがとう!」

「…指は、もう平気?」

「うん。大丈夫。…ごめんね、最後まで全部作らせちゃって」



あたしはそう言うと、少しぎこちなく笑う。

実は、尚叶くんに怒られてしまったあれからは、彼とはほとんどまともな会話をしていなかったのだ。

だけどあたしの言葉に、尚叶くんは安心したような顔をした。



「…そっ、」

「…」



それだけを呟いて、一緒にご飯を食べはじめようとする尚叶くん。

でも、一方のあたしは気になってしかたなくて。


どうして尚叶くんは、そうやってあたしのために安心したような顔をしてくれるのか。

それとも、考えたくないけど…それは商品としての営業でもあるのか…。

……まぁ、シュウさんの言葉が全て本当なら、営業だからって理由は無いんだろうけど。