…そのいつもと違う少し低い声に、あたしは思わず体がビク、と強張る。
だって、明らかに尚叶くんの声と表情は怒っていて…
あたしがそうしている間にも、尚叶くんは言葉を続けた。
「ぼーっとしてたら包丁で手を切ることくらいわかるだろ、」
「…ごめんなさい」
「…あとは俺がやるから、友香はそこに座って待ってて」
尚叶くんはそう言うと、リビングのソファーを指差す。
一方のあたしは、その言葉に少し落ち込みながらも尚叶くんの言う通りにリビングに戻った。
「…、」
ソファーに座ると、さっきの怒っていた尚叶くんの顔が脳裏に浮かぶ。
…尚叶くん、あたしの目を真っ直ぐに見て言ってた。
凄く真剣だった。っていうか、それよりも…
…怒ってくれるんだ。
今日は、恋人期間の最終日で、もしかしたら明日からはまた赤の他人に戻るかもしれないのに。
でもそれは、尚叶くんにとって関係ないってこと?
…尚叶くんは、あたしのことどう思ってるんだろう…。

