【完】ある日、恋人を購入した。


あまりの指の痛さにあたしが思わずかがむと、すぐに尚叶くんがそう言って傍に来てくれる。

包丁はそれなりに使い慣れてたはずが…ちょっとぼーっとしすぎたな。

ピーマンを切るはずが、自分の指を切ってしまうなんて……カッコ悪すぎる。


でも、あたしが痛がっていると、尚叶くんがそのあたしの手を握って、言った。



「友香、こっち」

「え」

「それ、水で洗ったほうがいい」



尚叶くんはそう言うと、切ってしまったあたしの指を流水にあてる。

そしたら水と一緒にあたしの血も流れて……大丈夫なのかな。

だけどよく洗うと、尚叶くんは水を止めて、どこからかキッチンペーパーをとりだして言った。



「はい」

「!」

「これで指全体を5分くらい握ってて。心臓より高い位置でね」

「…あ、ありがとう…」



そして、そこまでの処置をしてくれたあと、尚叶くんが少し安堵したような表情を浮かべる。

だけどその表情は、すぐにまた真剣な顔つきに変わって…

目の前のあたしを真っ直ぐに見据えて、言った。



「ったく…何考えてたんだよ」

「…え、」