…………
「さーむいねぇ~」
「…」
“S.Shop”に尚叶くんが迎えに来て、そのあとあたし達は約束通りに尚叶くんのマンションに向かった。
到着して車から出ると、外は雪が降り始めていて、あたしはそう言って上着のポケットに両手を突っ込む。
でも尚叶くんはあたしの言葉に特に何も言わず、さっさと先を歩いて、いつもの部屋へと向かっていく。
その後エレベーターに乗ると、何とも言えない緊張感が漂って、変な空気になる。
…あれ?いつもこんな感じだっけ?
横目でチラリと尚叶くんを見ると、尚叶くんは何故か焦っているよう。
ずっと、エレベーターの出入り口の上に表示されている、階の数字を見ている。
「…どうかした?」
「えっ」
その様子に思わずあたしがそう聞くと、尚叶くんは少しビックリしたようにあたしを見る。
見たいテレビがあるとか?
それとも、あたしに見られちゃマズイものがあって、早く隠したい…とか?
いや、それは考えすぎか。
だけど尚叶くんはあたしから目を逸らすと、呟くように言った。
「…別に」