【完】ある日、恋人を購入した。


あたしはそう言うと、尚叶くんの顔を覗き込んだ。



「…え」



だって、尚叶くんの家に行ったら、尚叶くんのことをもっとよく知れるだろうし。

だけど尚叶くんはあたしの言葉に少し戸惑うと…言った。



「じゃ、じゃあ…」

「?」

「………今度な」



そう言うと、「じゃあ今日はこれで」とあたしを車から降ろそうとする。

ちょ、ちょっと待ってよ。



「今度って?あたし達、時間は一週間しかないんだよ!」

「いや、そうだけど」

「それとも何?…あ、部屋がすっごい散らかってる、とか?」



それだったら超共感する。いや、あたしはすぐに招き入れちゃったけど。

でもあたしの言葉に尚叶くんは「ちげーよ」って言うと、少しの間を置いて観念したように言った。



「…じゃあ、それはお試し期間の最終日な」

「!」

「明日は……明日もテキトーに“S.Shop”で待ってろ」



尚叶くんはそう言うと、その後あたしをマンション前で降ろしてすぐに帰っていった…。