あたしがそう言っておにーさんの顔を覗き込むと、

おにーさんはあたしの存在に気付くなり少しビックリしたような顔をする。

でもそれはすぐに迷惑そうな表情に変わって、



「…何」



と、あたしから少し後退った。

ちょっと、そんな避けなくてもいいでしょ。



「何じゃなくて、お金貸してよ。2200円」

「…持ってないの?」

「いや、持ってると思って乗ったんだけど、さっきデパコス買いすぎちゃって。お金無いの」



だから、貸して。


あたしはそう言うと、おにーさんに少し近づく。

でも、そんなあたしにおにーさんは明らかに疑ってる顔。

ほんとは持ってるんじゃないの?って顔してる。


もー、めんどくさいな。


あたしはそんなおにーさんに証明して見せるべく、鞄から財布を取り出して、中身を見せた。



「ほら見て!すっからかん!」