【完】ある日、恋人を購入した。


ふいに玄関のチャイムが鳴って、あたしは一旦手を止めて玄関に向かった。

…尚叶くんかな。

そう思いながら「はい」ってドアを開けると、前に立っていたのはやっぱり尚叶くんで。



「…おかえり」



あたしがそう言ったら、尚叶くんはあたしの姿を見るなり少し目をぱちくりさせて、「ただいま」と言った。

それは、あたしがエプロンをしているから。



「何か、作ってくれてる?」



あたしの姿に尚叶くんはそう言うと、玄関で靴を脱ぐ。

その問いかけにあたしは頷くけど、「簡単なものだけどね」って照れて笑った。


だってなんか…エプロン姿で出迎えるって、新婚みたいなんだもん。


そして玄関からリビングに行くと、あたしの後ろで尚叶くんが「綺麗な部屋だね」ってリビングの中を見渡して言った。



「うん。…綺麗じゃなきゃ落ち着かなくって」

「…そうなんだ」



いや、必死になって片付けたんだけど。

寝室は地獄なんだけど。