【完】ある日、恋人を購入した。


…………


今日初めて会った人と、初めて二人きりで食事なんて少し緊張してしまう…。


あれから尚叶くんが連れて行ってくれたお店は、イタリアンレストランだった。

あたしはこのレストランに入ったことがなければそもそも存在すら知らなかったけれど、

外観からしてもうそこはオシャレな雰囲気で、イケメンな尚叶くんによく合うと思う。

尚叶くんはなんだか慣れた感じで入って行くけれど…彼女とかとよく来てたのかな。


店員さんに案内されて禁煙席の窓際の場所に足を運ぶと、あたし達は向かい合わせになって座った。

そして、なんとなく気まずい雰囲気が嫌だったから、あたしはメニューを開くなり尚叶くんに言う。



「す、すごいオシャレなレストランだよねー。お客さんもカップルばっかり」

「…」

「あたしここ初めてなんだ。尚叶くん、オススメとかある?」

「…へ?」



あたしがそう聞くと、何故か尚叶くんは少し驚いた顔をして、腑抜けたような声をだす。


…あれ、なんか変なこと聞いちゃったかな…。

予想外にも目を泳がせている尚叶くんに、あたしは首を傾げて言った。



「あ…もしかして、尚叶くんも…ここ初めてだったりする?」

「!」