【完】ある日、恋人を購入した。


そう言って、あたしは。

ニコリと彼に笑顔を向ける。

自分でも思う。あたしの心はまるで悪魔だ。

けど、尚叶くんの反応がいちいち可愛すぎるからいけないんだ。

あたしがそう言うと、尚叶くんがその瞬間一気に顔を赤くして言った。


「え、えぇ!?そんなのアリ!?」

「アリだよ。そもそも二時間も遅刻したのは尚叶くんなんだからね」

「……わかったよ」


あたしの言葉を聞くと、渋々そう言って頷く尚叶くん。…かわいいなぁもう。

あたしは心の中でそう思いながら、尚叶くんに言う。


「ねぇ尚叶くん」

「…何」

「早口言葉対決、しよっか」

「え、何なの突然」

「いいからいいから」


あたしはそう言うと、思わずニヤけそうな表情をおさえながら、言葉を続ける。


「じゃああたしからね。…何て言ってほしい?」

「え、…じゃあ赤巻き紙のやつで」

「オッケー」


尚叶くんがそう言うと、あたしは早速彼の言う通りにその言葉を三回言う。

早口言葉は得意中の得意だから。

そして三回無事に言い終えると、尚叶くんが言った。