彼はまた、二度寝をし始めた。

…本当に寝ちゃうとか。だけど仕事で疲れてるのかもしれないし。

今朝はこのまま、そっとしておこう。

あたしはそう思うと、


「…、」


尚叶くんの肩にそっと手を置いて、自分から尚叶くんの唇にキスをした。

ホントは尚叶くんからしてほしいけど、彼からのキスは本当にレアだから。

普段は、あたしからすることの方が多い。
あたしはそう言うと、「おやすみ」と呟いて……だけど。


「……いきなり何するの」

「え、」


呟いた瞬間。

また上からそんな声が降ってきて、あたしは顔を上げた。

するとそこには、また目を覚ましたらしい尚叶くんがあたしを見つめる姿があって。


「起こしちゃった?」


そんな尚叶くんにあたしがそう問いかけると、尚叶くんが言う。


「…いや、そもそも寝てない」


え、