尚叶くんはそう言うと…肩に回していた手を、あたしの後頭部に移動させる。

あたしはそんな彼の背中に腕を回すと、言った。



「…そうだね」

「…、」

「でも、尚叶くんとあたしの出会いは確実に“運命”だから。これからも何があっても平気だよ」



あたしがそう言うと、尚叶くんはさっきよりもあたしを抱きしめる腕の力を強くした。


根拠はないけど、でも本当に“運命”を感じるんだ。

だからきっと、バスの中で出会ったあの日…あの瞬間から、運命はきっと始まってた。


あたしは尚叶くんの腕の中で幸せを感じると、独りそっと微笑んだ。





尚叶が、恋人を購入した日…


それは、ホンモノの恋が始まった日……だったのかもしれない────…。










『ある日、恋人を購入した。(×××)』



【完結】