これ以上いると、風邪がうつる。
尚叶くんはそう言うと、辛そうな目を開けて…それをあたしに向ける。
「!」
尚叶くんはきっと、あたしのことを心配してそう言ってくれているんだろう。
それは言わなくても、その尚叶くんの表情でなんとなく伝わる。
それに、陽も落ちて…外はもう真っ暗だ。
けど、
「やだ」
「!」
あたしは尚叶くんの言葉を聞くと、一言そう言った。
帰らない。今は。うつっても平気。
「尚叶くんが辛いのに帰れるわけないよ。治るまでここにいさせて」
「…けど、」
「大丈夫。あたしバカだから、風邪なんか引かない」
あたしがそう言うと、尚叶くんは「何だそれ」とほんの少し笑った。

