あたしはそう思いつつ、体温計を元あった場所に戻しながら言う。
「っていうか尚叶くん。……さっきね、シュウさんが…今度は幸せになっておいでよって。言ってくれたの。尚叶とちゃんと話してくれば?って」
「…」
「正直言うと、さっきは言えなかったけど……あたしは今もちゃんと尚叶くんが好きだよ。尚叶くんのこと見るとまだドキドキしてるし、それが無かったら今頃あたしはここにいない」
「…」
「でも、ちゃんと話すのは具合が良くなったらでいいからさ、あたしの尚叶くんへの気持ちはまだちゃんとあること…憶えてて」
あたしはそう言うと、視線をまた尚叶くんの方に遣る。
…けど、なかなか返事が聞こえない。
そんな彼を不思議に思ってそっと布団を捲ると…尚叶くんは寝てるらしかった。
「…なんだよ」
聞いてなかったのかよ。寝てるとかアリかよ。
あたしはまさかの尚叶くんに、思わず軽くため息を吐く。
まぁ、風邪引いてるわけだし仕方ないんだけどさ。
「…早く、良くなってね」
あたしはそんな尚叶くんに囁くようにそう言うと、静かに彼の手を握った。

