【完】ある日、恋人を購入した。


シュウさんの声を聞くと、あたしは慌てて涙を拭いてその場から立ち上がる。

そして、何も無かったかのように平然を装って…振り向いた。

…シュウさんは、開店の準備をしに下りて来たらしい。



「あ…シュ、シュウさん…おはよう、ございます」

「おはよ。何してたの?床に座り込んで」

「い、いえ…ちょっと虫が…居て」

「へぇー…?」



あたしはなるべくシュウさんと目を合わさずにそう言うと、泣いていたことを知られたくなくて、急いでココアを持って…部屋に戻ろうとする。


…けど、



「待って、友香ちゃん」

「!」



あたしはその時…ふいにシュウさんに引き留められるように、腕を掴まれた。

その突然のことにあたしが思わずビックリしていたら…その腕を掴んだまま、シュウさんが言う。



「…ごめん。本当は…さっきの、聞いてた」

「!」