【完】ある日、恋人を購入した。


「…っ…」



うそ……終わっちゃったんだ。

たった今…全部が…。


あたしはそう思うと、自然と目から涙が溢れてきて…思わずその場に崩れ落ちる。

…追いかけるような勇気は、今のあたしにはない。



「…~っ、」



それに視界がぼやけて、大粒の涙は次々と床に零れ落ちて…。

キスをされた時の感触や、頭を撫でられた時の感触、抱きしめられた時の感触が…まだ全部、体に残っている。



…何で、あたしは素直に言えなかったんだろう。

尚叶くんは、確かに目の前にいたのに。


尚叶くんとのことで、もう尚叶くんには逢いたくないって思ってたはずなのに…

いざこうやってもう逢えないってわかると、不思議なくらいに涙は止まらない…。



「なお、とくん…尚叶くんっ…」



あたしは独りになった店内で、尚叶くんの名前を呼びながらバカみたいに泣いた。

体の中から、こんなに水が出るんだってくらいに泣きまくって…それでもまだ、止まらない。


…最後まで、あたしの心引っ掻き回さないでよ。

最後の最後になって、そんなずるいことしないでよっ…。