【完】ある日、恋人を購入した。


最初の一瞬は、尚叶くんが何をしているのかがわからなかったけれど…

唇から伝わる柔らかい感触に、あたしの両肩を支える尚叶くんの、震える手…。

それらを感じ取った時、あたしはやっとこの状況を把握できた。


…けど、把握できた途端に…尚叶くんが口を離して…あたしに言った。



「…今まで、散々振り回されてくれて、ありがと」

「…、」

「じゃあな。シュウとお幸せに」

「!」



尚叶くんはそう言うと…


微かに、切なく微笑んで…ふいにあたしに背を向けた。



「尚っ…」

「…」



行っちゃう。尚叶くんが行っちゃう。

でも、そう思うのにあたしの足は動かなくて。


しかも、あたしがそうしている間に…尚叶くんはS.Shopを後にして行く。


もう、振り向くことはない。