あたしが彼の名前を呼ぶと、尚叶くんはゆっくりと顔を上げてあたしを見る。
…尚叶くんはわかってない。
あたしが今、どんな気持ちでいるのか…。
あたしは尚叶くんに目を合わせると、彼に言った。
「……あたし、凄くショックだった。本当は自分が商品だったって、シュウさんから聞かされたとき」
「…、」
「もちろんびっくりもしたし、騙されたっていう感情も大きかったの。でも…実際は、あたしが一番ショックを受けてるのは、自分が商品だったとか、そういうことじゃない」
「…?」
あたしがそこまで言うと、わかっていない尚叶くんが少し首を傾げる。
そして、あたしを見つめてその続きを待つ。
あたしはそんな彼を見ると、また口を開いて言った。
「尚叶くんは…今まであたしと一緒にいて、どんな気分、だったの?」
「…」
「二人で映画を観に行った時とか、尚叶くんのマンションに二人きりでいた時とか、旅行の時とか……尚叶くんはずっと商品のフリしてて、悲しくなかった?」
「…」
「…あたしは、尚叶くんが元々奥手なの知ってるし、こっそりあたしを商品にして買っちゃうのも、尚叶くんの性格を考えると、わからなくもない。
けど、そしたらこうやって一緒にいれなくなっちゃう日が、絶対来ちゃうじゃん。あたしにバレたら終わりじゃん。尚叶くんは寂しくなかったの?どうしてっ…!?」

