【完】ある日、恋人を購入した。


そうわかった瞬間、あたしの心臓がドキ、と大きく深い音を立てる。

あたしはその人影が「尚叶くん」であるとわかったとき、ピタリと歩く足を止めた。


…どうしよう。

今はまだ、逢いたくないよ…。


尚叶くんはまだあたしの存在に気が付いていない様子だけれど、

…何だろう?S.Shopの前に立ってるから…まるで誰かを待ってるみたい。

その相手って、もしかして…。


あたしは頭の中でそう解釈をすると、それと同時に胸の鼓動も速くなっていく。

…裏口から帰ろう。

そしてそう考えたあたしは、すぐに踵を返して遠回りをしてそこに向かった。


良かった…尚叶くんにバレずに済んだ…。








「ただいまぁ」



裏口から帰ると、シュウさんは閉店の準備をしているみたいだった。

あたしは中に入ると、靴を脱いで…そっとシュウさんに顔を出す。

シュウさんはあたしに気が付くと、目をぱちくりさせて…言った。



「おかえり。…あれ、裏から帰って来たの?」