シュウさんはそこまであたしに説明すると、まだ半信半疑のあたしと目を合わせて優しく笑う。

そして、言った。



「現に、みきほだって結婚してるけど、相手は俺が選んで紹介したんだ。みきほ自身も、最初は友香ちゃんと同じで俺の店の事すっげー疑ってたけどね」

「!」



シュウさんがそう言うと、みきほさんはシュウにちらりと目を遣って、少し苦笑いを浮かべる。

でも、一方のあたしは、まさかみきほさんがここで結婚相手を買っていたなんて思わなくて…。

だけど、まだ怪しく思えるけれど、自分に合った相手を紹介してもらえるのは少し興味がある。


だって今、実際恋人がいなくて寂しい思いをしていたのは事実だし。


あたしがそう思いながらも少し悩んでいると、シュウさんがまた言葉を続けて言った。



「…まぁ、この店の唯一の欠点は、恋人を購入したら何があっても別れられないことかな」

「え、」

「商品は返品不可。購入したらもうずっと自分のものだから、お金を支払った時点でその商品との結婚も確定する」

「!!」

「…人によっては利点でもあるけどね」



シュウさんはそう言うと、あたしから離れて部屋の隅でコップにコーヒーを注ぐ。

その瞬間、部屋に広がるコーヒーの香り。

そしてまた更に、悩む…。


…返品、不可…