あたしの存在を見つけることは簡単で、商品にするまでに時間はかからなかったらしい。

あたしを騙したのは申し訳なかったけど、そこそこ上手くいっていたのはまさに意外で。

物凄く奥手な性格の尚叶くんは真正面からあたしに近づくことは出来ず、たぶんこの方法しか思いつかなかったんだと思う。


…けど。



「酷いだろ?現実は。自分が商品だなんてさ」

「…っ」

「友香ちゃんは、前に尚叶と会ったことがあるって言ってたじゃん。その時にアイツは友香ちゃんに惚れたんだよ」



まさかの事実に…あたしの頭はいろいろ混乱していて、ショックが大きい。

そして、今までの尚叶くんとの思い出を振り返る。


思えば、お試し期間のあの日々も…

尚叶くんに対して物足りなさを感じた時も…

飲み会でちょっとモメた時も…

旅行に行って気まずくなってた時も、ずっとずっと……商品は、あたしの方だったんだ。


あたしがそう思っていたら、シュウさんが再び口を開いて言った。



「…けど、それももう今日で終わりだから。もう大丈夫だよ、友香ちゃん」

「…?」