【完】ある日、恋人を購入した。


シュウさんはそう言うと、ふいにあたしの方を見遣って悪戯に笑う。

その瞬間、あたしの脳裏に浮かぶのはいつかのあのキスシーン。

…あたしはなんとなく、あのことは気にしないようにって思ってたけど……ってか、もう言わないで下さいよ。

あたしがその言葉にシュウさんから顔を背けると、彼が言った。



「そこ、座れば?」



シュウさんがそう言って指を差した先は、今まさにシュウさんが座っているところの向かい側。

目の前には、分厚い資料。…何を書いてあるのかはわからない。

「コーヒー飲む?」って聞かれたけど、緊張してるせいかその余裕は無くて断った。



「で、話って何?」

「…あ、」



そして、あたしがその椅子に座ると、シュウさんから直球に問いかけがくる。


…言いにくい。何より自分の仕事に自信を持ってるシュウさんだから。

だけどあたしは今までのことを思うと、思い切って顔を上げ、シュウさんに言った。



「…あの、尚叶くんのことで、ちょっとわからないことが…あるんです」

「なに?」

「尚叶くんとあたしって、本当に相性が100%良いんですか?」