【完】ある日、恋人を購入した。


あたしは尚叶くんに誤解してほしくなくて、俯く彼に慌てて言った。



「いや、違うの!尚叶くん誤解しないで!あのねっ…」

「ううん、誤解してないよ。…そもそも友香にとって、最初から俺じゃ物足りないとか…ダメなのも、薄々わかってた」

「!」



尚叶くんはそう言うと、うつ向いたまま…言葉を続ける。



「この前の飲み会のことで、ちょっと焦ってたのかもな…俺」

「…、」

「…わり。ちょっと出てくるわ」

「!!…尚叶くんっ…」



尚叶くんはそれだけを言うと、あたしの声に止まることなく、すぐに寝室を後にして行く。



「なおっ…!」



…その背中を、あたしは追いかけようとしたけど無理で。

寝室の出入り口のふすまを、目の前で閉められた。


何も言えなかった。あたしは尚叶くんに、何も言ってあげられなかった。

…尚叶くんは、やっぱりそういうふうに思ってたんだ。

キスが出来なかった自分が憎い…。


何でよ。何でいつも、上手くいかないの?

あたしと尚叶くんは、相性100%のはずなのに…。