【完】ある日、恋人を購入した。


そう言って、だけど本当は大丈夫じゃないのか、ふいに立ち上がって部屋の中をうろつきながら言う。



「っ…つかさ、風呂の前に腹減らないっ?」

「え、別に減ってないよ。来る途中のサービスエリアでラーメン食べてきたじゃん」

「いや、そうだけどさ。ほらっ…」

「?」



尚叶くんはそう言うけれど、でもお昼に二人でラーメンを食べたのはほんとだし。まだお腹がいっぱいなのだ。

それに、夕方になればたくさんの料理も運ばれてくるし、今からすっごく楽しみなのに食べられなくなったら困る。



「……無理ならあたし先に入るよ?お風呂」



それか、他の温泉に行くから。

ってか、そっちに行きたいし。


あたしがそう言うと、やがて尚叶くんは逆に気を遣わせたと感じたのか、一言「ごめん」と呟いた。


…なんか、今日の尚叶くん…ちょっと変?

どうしたんだろ…この前の飲み会のこと、引きずってるのかな。


あたしはそう不安に思いながらも、やがて温泉に行くために部屋を後にした…。