【完】ある日、恋人を購入した。







…───楽しいはずの飲み会から抜けて、独り強引に帰りだす。


ここは見慣れた賑やかな居酒屋。

俺だって、最初は楽しみにしてた。


友香怒ってるだろうな…。


だけど、それでも俺は狭い通路を歩いて出入り口に向かう。

さっきの個室からは、出入り口までそんなに遠くない。


元カレが来るなんてさ…

俺、聞いてないよ。

帰るなって、なんでそんな平気でいられるんだよ。


ただでさえ俺は…



…────しかし。



「!!っ、うわ!?」

「!」



その時、俺が店を出ようとしたら、突如店に入ってくる若い男とぶつかりそうになった。

思わず声にだして驚いてしまった…けど、「すみません」と謝って、俺はすぐに店を後にする。



「……、」



だけど、そんな俺の後姿を、

意味深に見つめているその男の視線には、気付かない…。