【完】ある日、恋人を購入した。


だけどさすがにそこまでは言えなくて、代わりに抱きしめる腕の力を強くする。

端から見たら、きっとバカップル。

玄関の外でこんなことしてるなんて。


でも、さっきS.Shopでガラスのドアの前で、あたしはシュウさんにキスをされたことを思い出す。

だからそんな頭の中を誤魔化すように尚叶くんの背中に頭を埋めたら、ふいに尚叶くんが言った。



「…何かあった?」

「!」



そう聞かれて、尚叶くんがチラリとあたしの方を振り向く。

その時向けられた表情は、さっきとは違って怒ってないみたい。

むしろ、心配そうな顔をしていて…


だけど、誤魔化した。

これは言えない。

言っても別れる心配がないとしても、言いたくない。



「……ちょっと、仕事で失敗して怒られたの。それだけ」

「…そ、」



あたしの言葉に尚叶くんは相槌を打つと、「入るよ」と先に玄関のドアを開けて中に入る。

その言葉に、あたしも尚叶くんの背中を追いかける。

そしたらやっぱり、我慢は出来なくなって。



「…ねぇ」

「うん?」

「キスして」

「!」