【完】ある日、恋人を購入した。


あー、寒い。


ただでさえ寒いのは苦手なのに、だんだん待つのが辛くなってくる。

体が落ち着かなくて、両足を上下にトントンする。


早くぅ~…。


だけどその時、寒さを耐えきれないあたしはあることを思い出した。


…あ、そういえば鞄の中にカイロがあった気がする。

どこに仕舞ったっけ…。


そう思いながら、鞄の中をゴソゴソとそれを探すと……あ、あったあった。

貼らないタイプの小さなカイロが。


あたしはその袋をあけると、カイロを軽く振ってから手の中にそれを包んだ。



……はぁ、何か別のことを考えてなきゃ。

さっきのことをずっと思い出してしまう。


まだ、キスの感触が残ってるんだもん…。


何でなの?シュウさん…。

何でキスなんかしたんだろ…。



「…っ…」



いや、シュウさんのことは考えない。

いま考えるのは、尚叶くんのことだけ。


あたしはそう考えると、やがて立っていたのを崩してその場にしゃがみこんだ。


…あ、カイロが暖かくなってきた。