…なに?
なおちゃんって、まさか…。
その声に反応して声がした方を見てみると、そこには会社から出てくる知らない女の人と…
尚叶くんの姿があった。
…あたしが見たことない、楽しそうな笑顔を浮かべている尚叶くんの姿が…。
いつも、あたしとのデートで着てくる紺色のコート…
ああ、間違いないあの人が尚叶くんだ。
あたしはそう思うと、そのベンチからなんとなく尚叶くんを見つめた。
「…」
「よっし。あたし、これで元気が出たわ。尚ちゃんのおかげで」
「いや、俺はただミスズの仕事に手出しただけだよ、」
「そんなことないでしょ。次のプロジェクトもお互い頑張ろうね」
「うん、」
女の人も笑顔でそう言うと、「バイバイ」と尚叶くんに手を振ってその場を後にする。
“尚ちゃん”
“ミスズ”
…何だか凄く、親しげ。

