【完】ある日、恋人を購入した。



…………



「……」

「……」



片付けを開始してから、だいたい数十分くらいが経った頃。

あれから、神崎くんと特に会話を交わすことなく、順調に片付けが進んでいる。


今、何時?


そう思って自身の腕時計に目を遣ると、時刻は10時ちょっと前。

…うん。まぁ、まだ平気だな。

片付けはまだまだ終わらないけど。


あたしはそう思うと、棚を雑巾で拭いている神崎くんに言った。



「…ね、ちょっと休憩しない?」



しかしあたしがそう言うと、神崎くんがまるで「はぁ?」とでも言いたげな表情であたしを見遣る。

もう?早くね?と。

…別に早くもない…と思うけどな。



「休憩なんてしてたら午前中までに片付けが終わらないんじゃないっすか?トモセンパイ」

「え?いや、そんなことは…」

「……疲れたんなら俺がやるから。トモは休んでれば?」

「!」



神崎くんはそう言うと、また独り掃除を再開させる。



「…」



……付き合ってた時は、あの時の“有唯くん”に甘えまくっていたけれど。

でも、今のあたしは違うから。