父さんと母さんは、

いつの間にやらいなくなっている。


この丘に一人、呆然と佇んだまま、

私は、何もできずに街だったモノを見ていた。


そうしていると、

段々と意識が朦朧としてきた。


「私も、この世界と一緒に‥‥、
消えるのかな‥‥‥?」


目を開け続けるのが難しくなる。

私は、それに逆らおうとはせず、

ゆっくりと瞼を閉じた。


意識を手放す直前に、

つけたままにしていたイヤフォンから、


『ごめんね』


と、聞こえた気がした‥‥‥。


その言葉を聞いてから、

私の意識は、

完全に暗闇に落ちたのだった‥‥‥。