「アストレイアで鍛えたら、私も筋肉、つくかな」

「……つくだろうけど。でも、毎日腕立てやってそれなんだから、無理かもな?」

 アストレイアを持つリィの腕は細い。確かに筋肉はついてるけど、俺よりも一回りくらい細い。

 リィからアストレイアを受け取り、テーブルの上に置いてからリィの腕を掴んだ。

「はにゃっ」

 変な声を出して手を引っ込めようとするのを止めながら、二の腕の感触を確認。

「ほら、力抜いてるとぷにぷになんだよ、リィは。あんまり筋肉つかない体質なんじゃないのか?」

「ん、んふー」

「リィは魔銃持って動ければそれでいいって。余分な肉は動きも鈍くするぞ」

「で、でも、もっと強くなりたいもん……ふふ」

「十分強いだろ。俺より強いくせしてー」

「だって……んふふふ、シンより強くないと、守れないじゃない……んふふふ、もう終わり、くすぐったい」

 首を竦めながら身を引くリィに、ぷにぷにの腕を放してやる。ちぇっ、触ってると気持ちよかったのにー。

「なに、俺を守るつもりなの?」

 テーブルに置いたアストレイアを鞘に戻し、リィと並んでソファに座る。

「だって、シン、すぐに死にかけるから、危なくて……私がフォローしないと……」

 それを聞いて、思わず言葉に詰まった。

 すぐ死にかける。……うん、確かにそうだった。父さんや母さんと旅をしていた頃は色んなものに興味を引かれてあちこちフラフラしてて、それで何度か危険な目に遭った。