そのことに胸をじんわり熱くしていると、琴音はリビングに戻り、執事たちに大量のテキストを持ってこさせた。

「聞いていた通り、言葉は通じるようなのですが、読み書きは別だそうですね。天神学園は学力にはさほど拘らない学校ですが、読み書きくらいは出来ないと授業についていけないと思いますので、入学式までにお勉強をいたしましょう」

「ええええ!」

 部屋を探検して歩いていたシンが悲鳴を上げる。

「お二人のご両親も通った道でございます。私たちも力になりますから、頑張りましょう!」

 琴音の声に、メイドたちもガッツポーズを作り、「共に頑張りましょう!」と声を上げた。


 こうして天神学園中等部入学式までの約半年間、双子は橘邸の人々に読み書きを教わりながら生活のリズムを作っていくのであった。