道なりに歩いていくと、綺麗に整えられたイングリッシュガーデンに出た。緩やかにくねる煉瓦道の脇には、白いエプロンをつけたメイドたちがズラリと並んでいる。

　その先には城があった。白い壁に青い屋根の、３階建ての城だ。その城の両開きのドアが、執事によって開けられる。

　出てきたのは小さな少女だ。

　腰まである長い黒髪に、真っ黒で大きな目をした、愛らしい美少女。

「まあ、凄い。時間通りでしたね」

　少女は微笑むと、凛とした声を響かせた。

「リィシン＝グリフィノー様、リィファ＝グリフィノー様。こちらが貴方がたの滞在する橘邸となります。不在の当主に代わり、娘である橘琴音がご挨拶申し上げます」

　ワンピースの裾を摘み、片足を引いて可憐に頭を下げる琴音。それに倣うように、一斉にメイドたちが頭を下げる。

　それに圧倒されていた２人は、はっと我に返った。

「こんにちは！　お世話になります！」

「……よろしくお願いします」

　と、同時に頭を下げる。

　そんな２人に、琴音は顔を上げ、微笑んだ。

「ようこそいらっしゃいました、地球へ！」

　琴音を始め、ずらりと並んだメイドたちや執事たちの笑顔からは、双子を心から歓迎していることが伝わってきた。まずはそのことに安堵して、シンとリィはは地球での一歩を踏み出したのだった。