「す、すみません、陛下……」

「貴方、公務でお疲になっているカインの睡眠を邪魔しておいて、まさか、タダで済むとは思っていませんわよね?」

「お、思っていま、せん、が……な、なんとか許して欲しい、と、思っています……」

 恐る恐る顔を上げると、肌が透けて見えそうな夜着に見事なグラマラスボディを押し込んだ、ピンクブロンドの巻き毛の美女が見えた。腰からスリットが入っていて、フェイレイを踏みつける艶かしい御御足が丸見えだ。

(なんという格好を)

 思わず顔が引き攣る。

 この格好で惑星王の傍にいたのか。あまり想像したくないのだが。

 カインはフェイレイの義理の兄ではあっても、神のような存在であり畏怖の対象だ。その人の趣味がこれなのかと思うと、なにかとんでもない禁忌に触れたような気がして恐ろしくなる。

 しかしその一方で、

(いいなそれ、リディルもそういうの着てくれないかなー。恥ずかしがって着てくれないんだよなー。いや、その恥じらう姿もまたかわいくて好きだけどー)

 という本音が頭の中で駆け巡る。

 しかしそんなお花畑妄想はすぐに遮られた。

 ピンクブロンドの美女と目が合うと、彼女の色気のあるふっくらとした唇がたわみ、赤い瞳が細まった。

「まあ、図々しい」

 コロコロ笑いながら、この世のものとは思えないほどの高貴で華美な、輝かしい聖母の微笑みを繰り出す皇后ローズマリー。