家族と軽く目を合わせた四人は、正面へ視線をやる。

 この星の王カイン、そして皇后ローズマリーが微笑みを湛えて四人を待っている。



 シンは大学で考古学を専攻した。

 ミルトゥワの古代文明を説き明かすというのが、勇者に次いで目標にしていたことであったからだ。

 けれどもあのお馬鹿なシンである。

 どうにもこうにも難解過ぎて、頭がパンクすることもあった。しかし頭脳明晰な野菊のおかげでなんとかやってこれた。野菊はミルトゥワへ旅立つ日のことも考えて、ミルトゥワ語も覚えてくれた。頭のいい彼女との出会いは、シンにとって僥倖であった。

 大学を卒業してすぐ野菊を連れてミルトゥワに戻ったシンは、父や母の手伝いをしながら古代文明の謎と立ち向かう日々である。その功績が認められて、人々からは『勇者』と呼ばれるようになっている。


 リィもシンと同じことを学びながら、魔法陣の研究を続けた。

 そうしてようやく形にした『簡易転移魔法陣』。

 少ない魔力で地球とミルトゥワを行ったりきたり出来る優れものだが、片道でほぼ全魔力を使うため、行き来するには最低でも一泊しないといけない。

 更に便利にする研究をするために、リィは一旦ミルトゥワに帰った。そうしてエージェントとして活躍する霸龍闘とは一年ほど超遠距離恋愛をすることになった。

 寂しさからつい、『早くしないと待ちくだびれて、許婚の関係も解消しちゃうかも』なんて手紙を書いた。

 そうしたら、霸龍闘が吹っ飛んできた。

『もう待たせない!』

 と、言ってくれた。

 そんな彼に、やっぱり彼の傍にいたいと感じたリィは、霸龍闘とともに地球でエージェントになることを決意。この式を最後に、活動拠点を地球に移すことになる。