式に参列しているのはこの星で最も高位にある神官たち。政治の中枢を担う大臣たち。皇族の面々。そして、四人が歩む先、祭壇の前に立つのは紺色の髪に王冠を乗せ、黒い法衣に身を包んだ『惑星王』、カイン=アルウェル=ユグドラシェルだ。

 彼はこの星においては神にも等しき存在、または現人神とも言われている人だ。そんな人がシンとリィの伯父であり、この結婚式の立会人なのである。日本でいえば天皇陛下にお目見えするのと一緒だ。緊張しないはずがない。

 本当は天神のみんなも呼んでワイワイとやりたかったのだが、シンとリィの身分、そして転移魔法陣の都合もありそれは難しく、過去結ばれたカップルたちと同様、仲間たちには天神学園の体育館で祝ってもらった。

 あのくらい気楽なら良かったのに、と肩を落とす霸龍闘に、リィが声をかける。

「霸龍闘、緊張してるの……?」

「そりゃするよ、王様とか偉い人ばっかりなんだから」

「そうなの……。私も少し緊張してるけど、でも、平気」

「そりゃ、リィは元々皇女様だもんな」

「ううん、違うよ。霸龍闘がいるからだよ」

「え……そうなのか?」

「うん。霸龍闘がいてくれると、とても心強いもの……。今日はずっと傍にいてね」

「お、おう、任せろ!」

 霸龍闘は笑顔で頷き、胸を張った。頼られて気持ちが大きくなったのか、緊張が少し解れたようである。その彼の腕にリィがそっと手を添えた。